新しい働き方  第120回
新潟らしいスタイルで働いている方たちから、コラムを寄稿してもらっています。

まだ見ぬ誰かの未来へ向けて種を播こう
野村(刈屋)ひと美さん
(2017-01-18 掲載)
 福島県出身。2児の母。祖父母、父親など教師一家に生まれ育つ。大学卒業後は、ライター・編集者を経て、地域活性化コンサルタントに。2012年長岡市栃尾地域に移住。「色で選ぶ野草茶」の加工販売や古民家を改装した「おとなこども寺子屋Tochioto」の運営をしている。
すきなこと:冬の温泉、野菜中心のご飯、保存食作り。子どものころの夢:料理記者

前回は栃尾に来てからの仕事について書きました。
最終回となる今回は、新潟に来て変わった仕事のイメージ、そしてこれからについて書きたいと思います。
「暮らし」「つとめ」「稼ぎ」
 さて最終回となりました本連載。
 新しい働き方、ということで書いてまいりましたが、そもそも働く(work)=仕事、としたときには農村の場合、稼ぐ以外の働きがいくつかあり、そこで得られる豊かさが、暮らす魅力の一つでもあると思います。その農村の仕事(work)というのには大きく3つあると言われていて、
1つ目はこれまで書いてきた現金収入を得る方法「稼ぎ」、
2つ目が地域内での役割や地域を自治、存続させていくにあたって必要な仕事「つとめ」、
そして3つ目が自給自足を中心とした自分たちの生活を賄う「暮らし」です。
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おすすめインスタブック「暮らし編」
 「暮らし」でいうと、こちらに来て私がまず始めたのが季節のサイクルを把握することでした。具体的には、インスタグラム(スマートフォン向け写真・動画共有アプリ)で日々の食にまつわる記録をとっていき、適当にハッシュタグ(検索したとき同じタグのものが分類されて出てくるシステム)をつけて、大体どの時期に何が採れるか、保存していけばいいかのサイクルがわかるようにしました。そしてそれをまとめてフォトブックにするととても便利。写真は実際に作ったものです。
 自然のデパートである里山には出荷スケジュールがないのが難点ですが、そんな悩みもこれで解消。また、農村ならではのお裾分けについても〝この時期には誰々さんから柿のお裾分けがあるから、私は柿入りのグラノーラを返そう“なんて計画もできるようになります。もちろんこういうのって気持ちなので、必ずしも手作りで返す必要もないと思うんですが、自分を知ってもらういい機会にもなると思います。
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集落行事参加のすすめ「つとめ編」
 例えば、夫が入っている消防団はじめ、雪の日に神社の雪を踏んで道をつくる、なんていう仕事まであります。たまにその現場に出くわしますが、おじいさん達が集まってかんじきを履き「さあ、はじめますか」と神社の階段をふみふみしていく様子は、見ていてとても和むものがあります(笑)。かさこ地蔵のような帽子もちょっとかわいい。そして籠りがちな冬ということもあるのでしょうか。男同士、世間話をしながらする作業は、案外楽しそうなのです。
 私にはこういう地域内での役割は特にありませんが、集落の新年会には毎年参加します。同世代はまず参加しないこの行事において、娘息子を連れて行ったり、カラオケで若めの選曲(吉幾三など)をして歌ったりしています。私の中では結構チャレンジング。それに人生の大先輩方とご一緒できるバスツアーは、とっても楽しいですよ。
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つとめが稼ぎにつながることもある
 集落のつとめではないですが、私の暮らす栃尾内ではパソコン周りのことで相談にのったり、文書作成のお手伝いをすることがあります。その後、お仕事の依頼につながったりすることもあるので、とてもありがたいことだと思っています。例えば、その1つが補助金申請のサポートです。想いをわかりやすく言葉にしていくことや、実際の事業にどう落とし込んでいくかを依頼主と一緒に考えるのはとても楽しくて、自分の中で否定的だったコンサル経験は、好きだったからこそ引っ掛かっていたことだということにも気付きました。
 ご存じのとおり「コンサルが色んな解決策を知っていて、地方は描かれたスキームどおり実行していれば課題解決する」なんて時代は終わりました。むしろ、地域の人が主体で、これまでとは違った関係性も多く産まれていますよね。それは希望でもあるし、私自身も主体的に考え行動し続けたいと思います。
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ハローワークについて
 ところで、「稼ぎ」について私は全ての人に起業がオススメだとは思っていません。おそらく、実際に仕事を探そう!となった時に、多くの方が足を運ぶのはハローワークでしょう。集まる求人数も新潟では断トツだと思います。
 ただ私の場合、色んな理由が重なって全然上手くいきませんでした。それは私自身にも原因があるのだと思うのですが、そこで仕事を探すことはものすごく困難に感じました。ハローワークに集まる求人は地域の色があり、知らない人はそこに戸惑うこともあると思うので、実際に行って自分の目で確かめておくことが大事だと思います。というより、職探しに限らず手続きでお世話になったりすることもあると思うので、一度足を運んでおくことをオススメします。
 移住者って、言い換えれば本来はそのまちにいなかったタイプの人だったりもするので、それがチャンスな時もあれば、色んな場面で受け皿がないということもあると思います。そういう意味では、外で働く場合については、ハローワークにない仕事を探す、移住前に仕事を見つけておくべき、という移住の先輩方がおっしゃっていることは、そのとおりなのかもしれません。
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当たり前に、自分ができることで種を蒔く
 自分には技術がない、ものを作り出せない、ハローワークでも仕事が見つからない…。そんな私でも、色んな方に助けられて仕事をすることができました。自分ができない分、できる方に助けてもらったのです。振り返ると共通することがあって、それは協力してくれた方全てが「未来のために種を蒔く」という気持ちを当たり前のように持っていたということです。
 例えば、Tochiotoで販売している五角形のコースター。栃尾の合格神社(五を書いた石を置いて合格祈願をするというシャレの利いた来伝神社というところがあります)にちなんで、地元の田中工務店さんにお願いして作っていただいたものです。これにまつわるストーリーは、別のサイトでご覧いただくとして、普段、大きな仕事をなさっている工務店さんが本来向き合って下さるような仕事ではないと思うのです。でも手伝ってくださり、地元の無垢材を使わなくなったことで何が起きているのか、どう生活が変わるのか、大工さんの技術はどうなっていくのか…とご自身が感じていることを惜しみなく教えて下さいました。これってなかなかできないことですよね。
 この連載と同じで、物事には必ず終わりというものがあります。それは人生だって一緒です。私の働き方は果たして新しいのかどうかはわかりませんが、まだまだ試行錯誤の日々は続きます。目先のことだけではなくて、続けられることで、自分がこの世からいなくなる先の先まで考えたことをやっていきたい、という気持ちは変わっていません。当たり前に、自分ができることで種を播き、未来へ繋いでいく。そんな姿勢をこれからも、どこにいても、何をしていても忘れずに生きていきたいと思います。
 1年間読んでいただき、どうもありがとうございました。
→五角(合格)コースターの説明、販売ページのサイトへリンク
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制作者
   新潟県県民生活・環境部    新潟暮らし推進課

管理者
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